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【他院バッグインプラント除去】★96-2 37歳女性 バッグ除去とCRFバストを同時にやらない理由

2022年09月13日

今回の患者様もCRF豊胸を予定していましたが、いつも書いていように
○バッグインプラント除去
○CRFバスト(脂肪注入による豊胸術)
は同時に手術はしません。

理由は
https://cynthia-liposuction.jp/crf/implant.php
に詳しく書いてありますが、ここにも書きます。

【同時手術のデメリット 1】
バッグインプラントが入ったままでは、バストの真の状態を把握することができない

(ⅰ)同時に手術を行う場合、バッグインプラントを除去した患者様の立位での見た目や脂肪分布を確認しないことになります。
これはバッグインプラントが入っていない患者様に対して、術前診察もせずに手術を行うのとほぼ同じレベルであり、雑な術前評価で手術をすることになります

バッグインプラントが入った状態(今回の患者様とは別の患者さまA)

バッグインプラント抜去状態(今回の患者様とは別の患者さまA)

バッグインプラントが入った状態では、どんなに精密に術前エコーやMRIを施行したとしても正しくバストの立体構造を把握することはできません。
(バッグインプラント除去手術と脂肪注入豊胸の同時手術は、骨格やもともとのバストの左右差、バストの本来の形、バッグインプラントによる肋骨の変形などを全く考慮しない状態で行う手術です。)

 


(ⅱ)バッグインプラントが長期間入っている場合、多少なりとも肋骨変形(バッグの形に肋骨が凹む)が見られます。

手術を同時に行う場合には、この肋骨の状態の評価ができません。
また、バッグを除去と脂肪注入を同時に行う場合は、局所麻酔によるボリュームや手術が始まった瞬間に発生する腫れがでてくるので、正しい立体構造の把握ができません。

同時手術を行うドクターがこの肋骨変形を気にしないのは、バッグインプラント豊胸と抜去単独手術に携わってこなかったせいで、そもそも肋骨変形について知らないのかもしれません。

バッグインプラント除去前(今回の患者様とは別の患者さまB)肋骨の変形に気がつくことはできません。

バッグインプラント除去後 CRF豊胸術前(今回の患者様とは別の患者さまB)
赤い破線に囲まれた部分はバッグインプラントによる肋骨変形です。

当たり前のことですが脂肪注入をするときには注入箇所の完璧な把握が必要です。

 

【同時手術のデメリット 2】
剥離範囲に脂肪を注入することはできない

バッグインプラントの除去をワキから行う場合、バッグインプラントの位置まで剥離(剥がすこと)しないといけません。(赤色の範囲)

剥離した部分には、脂肪は固定・生着しないので脂肪注入はできません。
層を変えれば入れられるという意見もあるかも知れませんが、痩せていてバストが小さく層を変えられないくらいこの部位が薄い方はいくらでもいらっしゃいます。

また、バッグを引きずり出すためにバッグインプラントを覆っているカプセルに穴(緑色の部分)をあけないといけませんので、その穴を通して赤い部分とバッグインプラントが入っていたカプセル内(青色の範囲)は自由に行き来出来るようになってしまいます。
このカプセル内は血流がありません。完全にゼロです。
ここに入り込んだ脂肪は、100%生着しないどころか僅かな細菌でも免疫機構が非常に弱いので、感染に負ける可能性(要するに腐るということ)があります。仮に手術中に洗い流すことができたとしても、術後に筋肉の動きや固定によって、注入部位から赤色の範囲に脂肪が移動することは否定できません。

つまり、注入した脂肪が
赤の剥離範囲緑の穴バッグインプラントカプセル内感染壊死
となる可能性があり、極めて危険なのです。

同時に手術するのではなく二期手術を行えば、1ヶ月程度でカプセル内のスペースはなくなりますし、剥離範囲だった部分も回復するので脂肪を入れることも可能となります。

なお乳輪切開乳房下切開では剥離範囲が小さいですが同じ理由で傷の近くには脂肪を入れることはできません。そして乳房下切開と乳輪切開は東洋人では傷が目立つのでオススメできません。(性行為の時に丸見えになります。)

 

※バッグインプラントを取ったらこんなカプセルが残るのにそのまま放置してその場で脂肪を入れることができる医師の考え方は本当に不思議です。

 

【同時手術のデメリット 3】
バッグインプラント除去手術の際には強い圧迫固定が必要

(ⅰ)バッグインプラント抜去による出血のリスク
バッグインプラント除去手術を単独で行う場合、ワキ・バストの強い圧迫固定を行わない美容外科医師はいません。

バッグインプラント除去手術の出血のリスクは、バッグインプラント挿入手術よりは幾分低いですが、術後問題となりうるほどの出血の原因となる血管は、ワキと側胸部に存在しているのは、バッグインプラント挿入術を数多く行った美容外科医師なら全員知っています。

強い圧迫固定を行った場合でも、動脈からの術後再出血が完全には防げないことは、美容外科医師なら知っています。


バッグインプラント
除去後1週間(今回の患者様とは別の患者さまA)

手術中ほとんど出血なく、終了時は出血がないことを確認して終了し強い圧迫もしていましたが、帰宅後に動脈からの再出血がありました。
追加で右血腫除去術を行っています。
この状態でもし同時に脂肪注入を行っていたら生着は望めません。
お写真の患者様の場合、術後1ヶ月半の経過で出血の影響を脱することができた段階で注入して良い結果となっています。

(ⅱ)圧迫固定による注入脂肪への血流障害
圧迫は出血を止めるために行うものですがその圧を加えれば当然注入脂肪にとっては血流不全となります。

(ⅲ)圧迫固定をしない場合にはカプセル内に滲出液が溜まることがある
バッグインプラント除去後のカプセル内には滲出液が溜まることがあります。
圧迫固定をすると頻度は下がりますがそれでも術後出血よりも頻度は高く見られます。圧迫固定が十分にできない同時手術ではリスクが高まると考えられます。

抜去だけの手術ならすぐに触知し熟練した外科医ならエコーなどなくても穿刺吸引除去が可能ですが、脂肪注入を同時に行っていた場合はバストの腫れがあるのでカプセル内の滲出液の存在に気がつくことすらできないということもありえます。滲出液が溜まっている状態は細菌感染のリスクが高まります。

 

【同時手術のデメリット 4】
そもそもバッグインプラント抜去手術だけで全身・局所の消耗を引き起こす

バッグインプラント除去手術は、それ自体が身体にとって大きな侵襲となる手術です。
風邪を引いて消耗した状態で行う脂肪注入手術がベストで無いことは明らかなように、消耗から回復しない状態で行う脂肪注入がベストでは無いことは明らかです。

また顔面と違って、大量となるバストの脂肪注入にとって、局所の状態が最善であることも重要です。
剥離操作によって、局所の炎症が惹起された状態での同部位への注入は最善ではありません。

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以下に、オススメしませんが考えられるバッグインプラント除去と脂肪注入豊胸の同時手術のメリットを提示します。

同時手術の”メリット”

●患者様のメリット

  1. 痛いのが一回で済む
  2. 麻酔などが一回で済むので価格は2回よりは安く済む。
    同時手術は割引してくれることが多い。(クリニックの価格差のほうが大きいと思いますが…)
  3. 途中バストが小さい期間が少なくて済む

●クリニックのメリット

  1. バッグインプラント除去と豊胸を1回でやれば1回あたりの時間で得られる売上が著しく大きい。
  2. バッグインプラント除去をしたあとに、”他のクリニックに行きたくなった””やっぱりバスト大きくなくてもいいや”とか”痛みで手術が嫌になった”とか言う理由で、手術がなくなることがない。

豊胸手術は何度も気軽に行うことができる手術ではありません。
医学的に最善を尽くさなければならないタイプの手術です。
同時手術の患者様のメリット1~3は、医学的なデメリット1~4と比べるべきでは無いと考えます。
シンシアでは以上の理由をもって、バッグインプラント除去とベイザー®(+アキーセル)+コンデンスリッチファット豊胸の二期的手術をおすすめしています。

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この記事を書いた人

シンシア総院長 / 銀座院 院長 又吉 秀樹

日本美容外科学会専門医 慶應義塾大学医学部出身 目の下のクマ、フェイスリフト、ベイザー脂肪吸引、コンデンスリッチファット(CRF)豊胸などが専門。
お気軽にご相談ください。

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