- ウルセラ サーマクール
【超保存版】サーマクールとウルセラどっちを選ぶべきか
2020年03月03日
サーマクールとウルセラ。
どちらも美容皮膚科照射系治療最高峰といって過言ではない機械です。
サーマクールFLX
ウルセラ
どちらもアンチエイジングの最高峰といっても自分のたるみが気になったときにどちらを受けたら良いのか何を見てもさっぱりわからないという方が多いと思います。
クリニックに問い合わせても、
○サーマクールは引き締め、ウルセラは引き上げ
○ウルセラは中をグッ、サーマクールはコラーゲンの活性化
みたいなまったく理解できない回答をするクリニックも多数です。
多分お医者さんですら理解していないのでそんな訳のわからない回答しかできないのです。
そんなクリニックでは本質に迫った適切なウルセラもサーマクールも受けることは到底叶いません。
高い治療費を無駄にしないためにもウルセラとサーマクールの治療本質を患者さま自ら理解するのがおすすめです。
表1 サーマクールとウルセラの違い
①それぞれの治療の標的部位
いい治療を受けるためには、まず顔のたるみを考える上で重要な解剖をざっくりとでいいので理解しておく必要があります。
○表皮とは皮膚の細胞がどんどん分裂して表に向かって移動している部分。基本的に化学的なバリアーの役割。たるみとは無関係。 シミなんかで問題になる部分。
○真皮とは概ねコラーゲンでできていて体を表面から支えている部分。革ジャンや革のバッグなどで革と言ったらこの真皮のことを指すくらいしっかりした構造になっている。年齢とともにコラーゲンなどの量の減少、質の劣化が起こりたるみが出てくる。体質的にコラーゲンの質が良い人、悪い人(たるみやすい)がいる。
表皮と真皮を足して皮膚といいます。
○脂肪層・・・脂肪細胞を溜め込んでいるゾーン。脂肪細胞自体に支える力は無いけれどボリュームを保っている効果はある。脂肪層にもコラーゲン繊維などが入り込んでいる。SMASとの一部を構成しているとも言える。
○SMAS・・・脂肪層から派生するコラーゲン繊維と筋膜から派生するコラーゲン繊維が絡まっている部分。上の絵では脂肪層と筋層の間にしっかりあるように描いてあるが実際には顔の部位によって脂肪層の表面近くを指したり、筋層に近い部分だったりする。割と概念的なものであり理解としては”皮膚より深い部分で顔の構造を支えているコラーゲン繊維などが絡まりあった領域”でいいと思います。なおリテイリングリガメントはSMASの中でも特に強く皮膚と深い構造(筋肉など)を結んでいる部位という理解で概ね間違っていないと思います。
○筋層・・・表情筋など。年齢とともに筋力が落ちる。ボリュームも減ります。
○顔面を構成する骨・・・実は年齢とともにボリュームが無くなっています。
若返りというのはそれぞれの層の衰えに対する対策と言えるのですが、美容皮膚科で扱うことのできる照射系治療の最高峰であるサーマクールFLXとウルセラはそれぞれ狙っている場所が少し違います。
○サーマクールFLXの標的部位
真皮のコラーゲン繊維+脂肪層に入り込んだコラーゲン繊維
○ウルセラの標的部位
SMASを構成するコラーゲン繊維
②熱を加えていく方法
基本的にサーマクールFLXであれウルセラであれ結局行っているのはコラーゲン繊維の加熱です。
その加熱方法はサーマクールFLXとウルセラで違います。
○サーマクールFLXの熱発生原理
電気を体に流してちょうど皮膚あたりで発熱させる。(電球のフィラメントと似た原理)
○ウルセラの熱発生原理
超音波のエネルギーを一点に集めることで発熱。(虫眼鏡で太陽光を集める感じ)
この方式を一般的に高密度焦点式超音波(high-intensity focused ultrasound :HIFU:ハイフ)といいます。
③効果が出る理由(⑦料理に例えるなら)
○サーマクール
真皮と脂肪層に入り込んだコラーゲン繊維を55℃くらいの温度に面で持っていく。そうするとコラーゲンはほんの僅かに収縮する。
あまり強く加熱するとやけどになってしまうので精密な出力調整が必要。(1ショットごとの出力調整はサーマクールFLXにできてサーマクールCPTにできないことです)
身近なものに例えると生卵の白身に熱を加えていくと白いのが混じり始める。ずーっと同じ感じで熱を加えていくと固茹で卵に。(皮膚ならやけど)
安全は確保しながらも白い混じり物はできるだけ増やしたいので、加熱しては冷やし、加熱しては冷やす。を繰り返す。
○ウルセラ
SMASを点状に焼く。SMAS層のコラーゲン繊維は皮膚のそれと違って密度が低く点状に照射された部位に向かって大きく縮む性質がある。
参考動画 Ulthera ウルセラ 解説動画~SMASを熱変性させて引き上げるとは
SMASは皮膚では無いので焼いても瞬間なら皮膚の細胞を殺すことはなくやけどは起こらない。→出力によるやけどは起こらない。
身近なものに例えると、鶏胸肉を鶏皮側を下にして熱々のフライパンに乗せてすぐに引き上げる。
すると鶏皮だけ大幅に縮む。これをもう一度繰り返してもそれ以上は縮まない。
④効果を出すために最も重要なこと
○サーマクールFLX 加えた総熱量=1ショットの面積×出力×shot数
やけどしない限りはこの総熱量が多いほど効果が高い。
・1ショット面積 サーマクールFLXは4.0cm2 サーマクールCPTは3.0cm2
・出力 下の表のように7J/cm2から46J/cm2までありますが、17J/cm2がテスト照射の出力。27J/cm2はやけどするので禁止。麻酔無しで行うと痛すぎて7J/cm2で行われてしまうケースがほとんど。
・ショット数 シンシアは600ショットのみ
○ウルセラ 最高出力で照射すること。適切なショット数を確保すること。
最高出力であること・・・ウルセラはSMASを焼く機械ですが瞬間的に焼くことができない出力ではSMASは全く反応しません。ウルセラの出力はサーマクールと違って4つしかありません。そしてその出力はやけどのリスクが無いのですべて使用可能です。出力の選択は純粋に痛みの程度だけ。一番強い出力と一番弱い出力は1.8倍。
参考動画 ウルセラはなぜ全身麻酔最高出力でないと無意味なのか
⑤重ね打ちの意義
○サーマクールFLX・・・1ショットの照射では真皮のコラーゲンの収縮は少しだけ。加熱→冷やす→加熱を繰り返して変質したコラーゲン量を増やしていくので重ね打ちは重要。
○ウルセラ・・・焼いて一気に変質させたSMASのコラーゲンは重ねて照射してももうそれ以上縮まないので重ね打ちは無意味。
(※Ulthera ウルセラ 解説動画~SMASを熱変性させて引き上げるとはの動画でも一度焼いた部分とその近くはもう縮まない。)
それどころか万が一超音波の焦点が皮膚の浅さになってしまっていたら最低出力ですら皮膚を焼いてしまうことになり部分的なやけど。基本的にそれでも点状照射なので重ね打ちしていなければ回復可能ですが、重ね打ち(あるいは多すぎる照射)では皮膚を焼いている部分が近接してしまうので回復不可能なやけどになる。そのため重ね打ちあるいは必要以上の照射数は害にもなりかねない。
⑥痛みの原因
○サーマクールFLX・・・サーマクールの加熱は電気により発生する。そのため、コラーゲンの他神経にも電気が流れてしまう。痛覚を司る神経も電気的な刺激によって反応するため強い痛みを感じてしまう。
熱によるキケンを感じる神経と痛みを感じる神経は別なのでサーマクールの出力を痛み基準に調節することは必ずしも妥当とは言えない。
○ウルセラ・・・ウルセラはSMASを点状に焼灼する治療機なので、焼いた部分にある神経は”必ず焼ききれます”。
神経を焼き切ればその痛みは強烈。ただし細い神経なので時間とともに回復します。
それを考えるとSMASを収縮させる治療機(すべてのHIFU(ハイフ)、シンシア以外のウルセラ)において痛みが”軽い”とか”無い”というのは”治療をしていない”ということと完全に同義。
⑧やけどのリスク(原因)
○サーマクールFLX・・・サーマクールFLXは皮膚に対する治療なので”出力が高すぎて皮膚が高温になった場合”あるいは重ね打ちによる”熱溜まり”が過度になった場合にやけどとなる。
○ウルセラ・・・ウルセラは皮膚ではなくSMASを焼いているので皮膚のやけどは基本的に起こらない。
しかしながら超音波の焦点がSMASの深さではなく皮膚に合ってしまった場合、皮膚を点状に焼くことになる。点状なので基本的にはフラクショナルレーザーと同様に皮膚は回復するが、重ね打ちをしたりショット数が多すぎる場合には点が重なりすぎて面になり回復が困難なやけどになりかねない。(⑤で解説したようにウルセラの重ね打ちや多すぎる照射は無意味な上にキケン)
痩せて骨ばった人はカートリッジが浮きやすくこのリスクが高まる。
⑨ダウンタイム
○サーマクールFLX・・・基本的に腫れない。
○ウルセラ・・・SMASを”焼いている”ので個人差・体調による差はあるが腫れる事がある。
⑩望ましい周期
○サーマクールFLX・・・1ヶ月程度あければ特に問題は無い。
○ウルセラ・・・一度収縮したSMAS層が更に収縮することができるようになるまで一定の時間がかかる。
2ヶ月以内の照射は意味がない可能性がある。
以上、サーマクールFLXとウルセラの違いでした。
一言でまとめると、
○サーマクールFLX・・・皮膚自体のコラーゲンをじわじわ引き締めていく(一番見えている部分自体を改善)
○ウルセラ・・・皮膚よりも深い部分SMASのコラーゲンを大きく収縮→SMASが収縮→それに従って皮膚が動く(糸のリフトに発想が近い)
ということです。
よって・・・
サーマクールFLXが向いている場合
皮膚自体のハリが弱く、つまむとよく伸びる。皮膚と深部組織の繋がり(リテイリングリガメントなど)が弱い。つまり見た目にダイレクトにつながる皮膚のたるみ・緩みの改善に重点を起きたい。リテイリングリガメント(皮膚とその下をつないでいる組織)の補強などにも効果が期待できる
※お写真はサーマクールFLXをお受けになった患者さま
ウルセラが向いている場合
皮膚自体のたるみもあるが、つまんだときの伸びはほどほど。皮膚と深部組織のつながりが強いためSMASが締まれば皮膚が連動して動いてくれる期待が高い。
※お写真はウルセラをお受けになった患者さま
・・・と書きましたが年齢を重ねると皮膚自体もSMASも皮膚と深部組織のつながり(リテイリングリガメントなど)もすべて緩んできます。ですので相対的に何を重視したほうが良いのか、というのはたくさんの患者さま方の顔を触ってきた医師のアドバイスを受けることをおすすめします。
もちろん皮膚もSMASも一気に引き締めてしまう、
サーマクールFLX+ウルセラ
同時治療は今世界に存在している照射系美容皮膚科治療においてこれを超えるものは存在しないといえる治療だと思います。
どちらも強烈に痛い治療なので効果を出すためには全身麻酔が必要ですがそれが一回で済んでしまうのもメリットです。
サーマクールFLXもウルセラもシンシアにお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

シンシア総院長 / 銀座院 院長 又吉 秀樹
日本美容外科学会専門医 慶應義塾大学医学部出身 目の下のクマ、フェイスリフト、ベイザー脂肪吸引、コンデンスリッチファット(CRF)豊胸などが専門。
お気軽にご相談ください。
■カテゴリ一覧
■最近の投稿
-
★485 42歳女性 経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線)
-
★484 50歳女性 ヒアルロン酸溶解→経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線)
-
☆37 ★483 48歳女性 眉下切開→経結膜脱脂術+眼窩脂肪注入
-
★482 25歳女性 経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線)
-
★481 32歳男性 経結膜脱脂術+眼窩脂肪注入+二重埋没法(プレミアムクイック法 右側)
-
★218 57歳女性 頬アゴ下VASER+アキーセル脂肪吸引経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線、オトガイ、マリオネットライン)
-
★480 59歳女性 経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線、オトガイ、マリオネットライン)+下眼瞼皮膚切除
-
31歳女性 中顔面へのヒアルロン酸注入(ボリフト) 3本でふっくら可愛らしく
-
★479 57歳女性 経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線、オトガイ、マリオネットライン)+ゴルゴ線剥離+頬アゴ下VASERアキーセル脂肪吸引
-
☆36 ★478 59歳女性 経結膜脱脂術+マイクロCRF注入(目の下、中顔面、ほうれい線、オトガイ、マリオネットライン)+眉下切開