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生命の危険を伴いかねない110㎏の男性の脂肪吸引 ベイザー使用 1

2013年04月24日

脂肪吸引というのはリスクがあることを美容外科医師が十分に理解していないと非常に危険なものです。

クリニックによっては無邪気に
本日は6000㏄の脂肪を吸引しました
、などと恥ずかしげもなく患者様の生命を危険にさらしているということをブログにアップしていますがそのような危機感の無いことではいつか患者様に重大なことが起こることは間違いありません。
そういうクリニックは気軽に病院送りにして輸血をさせているという実態もあります。

実際に報道されているほかにも重大な事故は僕が把握できるだけでも毎年数件起こっており、ここでは書くことはできませんし聞かれても答えることもできませんが
はっきり言ってそういう事故原因は
○無謀なプランニング(脂肪吸引の量的な問題)
○未熟な医師による麻酔管理による呼吸循環不全(特に研修医上がりで美容外科になったような医師)
○高年齢に対する手術
○硬膜外麻酔が呼吸・循環中枢をマヒさせることによる心停止
○雑な手術や臍ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニアを原因とする腸管損傷
に集約されます。
本当は特に大きなクリニックに関して言えば社会的な責任からしても重大事故に関しては記者会見を開いてその原因を明らかにすべきだと思うのですが実際には全くその逆となっています。
だから脂肪吸引の事故は減らないし、事故が起こる・起こらないは美容外科医師個人個人の良心(売り上げを上げるために無理はしない)にのみ依存しているということになっているのが現状です。

量的な問題で言えばシンシアでは出血を少なくできるVASERを使用していても基本的に
○太ももで4500㏄
○お腹周りで3000㏄
を超えるような吸引量が想定される場合は危険ゾーンとして手術を2回に分けるようにしています。
太ももで4500㏄を超えて5000㏄に達してしまうことはまれにありますが(それは僕にとったら恥ずかしいことです)、そういう場合にもVASERを使って出血量を抑えていることもさることながら出血が少ないことを確認しながら手術を進めています。

麻酔管理についてですが
麻酔というのは鎮静(意識を落とす)と鎮痛(痛みをなくす)とのバランスで成り立っているものなのですが、恐るべきことに鎮静とわずかな鎮痛だけで手術を行っているクリニックが多数あります。
プロポフォール(ディプリバン)という薬です。この薬は痛み止め効果がありませんのでこの薬と軽い鎮痛薬(ソセゴン・トラマールなど非麻薬性鎮痛薬)程度では手術中に患者様は意識がないまま大暴れします。
往々にして未熟な医師は患者様が暴れるとプロポフォールを増量します。
しかしながらこの薬は呼吸停止・血圧低下が見られやすい薬です。
プロポフォールだけを大量にいくという方針は非常に危険であり絶対に避ける必要があります。
脂肪吸引を安全に行うためには、硬膜外麻酔や麻薬で鎮痛をはかることが必須なのです。

麻酔科がいれば安心というのも怪しいものです。麻酔科のバイトの先生も麻酔導入したが最後医局に引きこもってマンガや自分の論文にいそしんで患者様を放置していることも多いのです。

結局、手術に夢中になって患者様の胸の上がり(呼吸状態)を忘れてしまうような医師やモニターが外れていても気が付かないようなチームは手術をする資格がないということです。

高年齢
50歳を過ぎたら健康そうに見えても体力は落ちてきています。隠れた病気もあるかもしれません。
腹壁の筋肉も弱くなっています。
こうなると数百ccの吸引や単純な腹部のたるみとりはできても数千㏄となると命取りになりかねません。
慎重さが要求されます。

硬膜外麻酔
硬膜外麻酔はいい麻酔です。
ただし呼吸中枢と循環の中枢まで麻酔薬が効いてしまったら高度な蘇生が必要になるのでシンシアでは早々にやめてしまいました。
僕が二人いればそんな事態でもなんとかなると思いますが・・・

腸管損傷
最近の記事にも書きましたが、腸の手術の既往・子宮の手術の既往など腹部の内臓手術をしたことがある場合、脂肪層の中に腸管がはみ出していることがあります。腹壁瘢痕ヘルニアといいます。
その他にもおへその周りなど腹壁が弱いところは腸管がはみ出していることがあり得ます。臍ヘルニアなど。
これを術前の診察で気が付かずにつつきまわすと腸管損傷となり命に係わります。
シンシアではカウンセリング時にお腹は必ず触ったり押されたりします。
手術の既往があって怪しければ、腹壁瘢痕ヘルニアが無いかどうか病院で調べてもらってからの手術になります。
それがめんどくさい方はお引き受けできません。

脂肪吸引は素晴らしい結果をもたらす手術ではありますが、
一方で危険を伴うものでもあります。

その危険は隠ぺいされていて一般の方はほとんど知らないのが現実です。

今回の記事では自戒の意味を込めて書かせていただきました。
美しさのために生命を危険にさらしてはいけないと考える次第です。

あっこの記事を書き始めたのは


という患者様を引き受けたからでした。

次の記事以降に引き続き書かせていただきます。

よろしくお願いします(*v.v)。

この記事を書いた人

シンシア総院長 / 銀座院 院長 又吉 秀樹

日本美容外科学会専門医 慶應義塾大学医学部出身 目の下のクマ、フェイスリフト、ベイザー脂肪吸引、コンデンスリッチファット(CRF)豊胸などが専門。
お気軽にご相談ください。

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